美味しい桃は見分けられるのか?桃農家が正直にお話しします

「美味しい桃は見分けられるのか?」と書かれたかわて農園のブログのアイキャッチ画像。桃の写真とクエスチョンマーク

「美味しい桃の見分け方」で検索すると、たくさんの記事が出てきます。
色とか、形とか、表面の斑点ですとか。
でも、ひとつ正直にお話ししますと生まれたときから桃が身近にあった私でも、いまだに「本当に美味しい桃」を見分けることはできません。

「これは美味しそうだ」と思って食べた桃が、まったく甘くない。
桃農家の私でも日常茶飯事です。

なぜ、美味しい桃を見分けるのは難しいのか

答えはとてもシンプルです。
外見から「糖度(甘さ)」を見抜くことができないからです。

美味しい桃の基準には、大きさ・色・形・香りなど、いろいろあります。たしかに、どれも大切な手がかりです。
でも、甘さそのものを示す「糖度」だけは、見た目では本当にわからないのです。

「表面の斑点(果点)が多いほど甘い」――そんな話もよく目にします。
けれど、これは品種によってバラバラで、正直あてになりません。

色でわかるのは「食べごろ」、わからないのは「甘さ」

そっくりな見た目の桃が3つ並び、それぞれの上にクエスチョンマークがついたイラスト。どれが甘いか見分けられないことを表す

桃を見て、ひとつだけはっきりわかることがあります。
それは「熟度」。
つまり食べごろのサインです。これは色で判断できます。

でも、「甘さ」はまったくの別物です。
数十年、桃を作り続けてきた私の家族でも、桃をずらりと並べて「どれが一番美味しい?」と聞かれてもきっとわからないはずです。
それくらい、見た目と甘さは結びつかないのです。

雨のあとの桃は、見た目そのままで甘さが落ちる

雨雲の下にある桃のイラスト。水分を吸って糖度が下がることを示す下向き矢印つき

わかりやすい例をひとつ。
雨が降ったあとの桃は、木がたっぷり水分を吸い上げて、一気に糖度が下がります。
けれど見た目は、雨の前と変わりません。
同じ色、同じ大きさ、同じ香り。それでも、中身の甘さはまるで違うのです。

だから、農家は「糖度計」を使います

桃の果汁の糖度を糖度計(屈折計)で測り、BRIX13.8%と表示されているイラスト

見た目で甘さがわからないなら、どうするのか。
答えは「測る」です。
かわて農園では、糖度計を使って桃の甘さを数値で確かめています。

とくに、失敗できない贈り物(贈答用)の桃は、必ず糖度計でチェックしてから箱に詰めます。
大切な方のもとへ届く桃ですから、ここは妥協できません。

ただ、たくさん出荷するときに、一つひとつ測るのは現実的ではありません。
そこである程度の数を測り、「この木の桃なら大丈夫そうだ」と確認できてから詰めていきます。
……それでも、ごくたまに、甘さが乗りきっていないことがあります。
それくらい、桃の甘さを見極めるのは難しいのです。

本当に甘い桃は、じつは流通に載せられない

ここからは、もう少しだけ踏み込んだお話を。
一般的に桃は「美味しい=甘い」だと思います。私も、そう思います。
では、いちばん甘い桃はどんな状態かというと――完熟して、傷む直前のものです。

でも、この状態の桃は、配送には載せられません。
柔らかすぎて、お届けする頃には傷んでしまい、必ずと言っていいほどクレームになるからです。
だから多くの農家さんは、完熟の少し手前、ほんの少し早めに収穫してお届けします。これが流通の現実です。

どうしても、木で熟した完熟の桃を味わいたい――。
そんな方は、産地まで足を運んでいただくのがいちばんです。
その日いちばんの、いちばん甘い桃。これは現地でしか出会えない味なんです。

それでも、私たちにできること

「見分けられない」なんて、桃農家が言ってしまっていいのかと思われるかもしれません。
でも、見た目だけでは保証できないからこそ、私たちは糖度計で測り、木や畑の状態をていねいに見て、できる限り甘い桃をお届けする努力を続けています。
直送を手がける農家の一番の悩みは、ギリギリ送れる熟度の見極めです。
早すぎず、熟しすぎず。これが本当に難しいのです。

桃選びに迷ったら、どうぞお気軽にご相談ください。
用途やお好みに合わせて、ぴったりの一箱をご案内します。

糖度を確かめてお届けする、かわて農園の桃